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【書評】フラッシュボーイズ

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 証券市場の民主化によってニューヨーク証券取引所Nasdaq以外の証券取引所が乱立するようになった2009年ぐらいから、ディーラーたちは不思議な現象に悩まされる。

コンピュータスクリーンが映し出す各証券市場の売値と買値で取引しようとすると、ふっと売り物や買い物が消えてしまうのだ。その値が消えて、買う場合だったらば、必ずそれより高い値で、売る場合だったらばそれより低い値で取引が成立してしまうのだ。

二軍投資銀行に勤めるブラッド・カツヤマは、なぜか株を買おうとすると値段が逃げ水のようにあがってしまう事に気づく。
彼はドンキホーテのように、単身調査に乗り出す。

するとそこには、私たちの注文を10億分の1秒の差で先回りしていく超高速取引業者「フラッシュ・ボーイズ」の姿があったのだ。


巨大システムの詐欺と実態を暴いた傑作ノンフィクション‼

 

ブラッド・ピット主演映画「マネー・ボール」の原作者マイケル・ルイスによる

ノンフィクション。

 

通信速度と高速処理を可能にする技術により、瞬きよりも早く取引ができるようになった現代、超高速取引業者「フラッシュ・ボーイズ」が行っているのは、投資家の注文を先回りして利益を得る、絶対に負けない後出しジャンケンのようなことだった。

 

投資銀行に勤めるこの物語の中心人物が、少しずつ少しずつ実態を明らかにしていく様は、現代の金融システムの幕の裏を覗いているような感覚に。

 

物語の舞台は、当然ウォール街だが、この超高速取引業者の実態は、

対岸の火事ではなく、日本にも彼らがいて、日本の投資家の注文を先回りしている。

 

リーマンショックの裏側も別作品で描いたこの作者は、

きっと今後もワクワクするような作品を残してくれるだろう。

 

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち (文春文庫)